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ハーレーダビッドソンの歴代エンジンをすべて紹介!最新エンジンの仕組みも解説!
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ハーレーダビッドソンの歴代エンジンをすべて紹介!最新エンジンの仕組みも解説!

ハーレーの歴代エンジンには様々な形状があり、数十年前のヴィンテージハーレーなどに搭載されている古き良きエンジンには熱狂的なファンがいます。
ハーレーダビッドソンを愛しているのなら、歴代エンジンのことを知っておいて損はありません。
ツーリング仲間との話題としても役立ちますし、過去のエンジンを知っていてこそ最新のエンジンの良さが理解できるものです。

この記事ではハーレーダビッドソンの歴代エンジンを全てご紹介し、特徴や魅力を解説し、2023年現在でも整備や部品交換は可能なのかを解説していきます。
後半では現代の最新エンジンの比較もしますので、これから新型を買う方もヴィンテージハーレーに興味がある方も、ぜひ最後までご覧になってください。

ハーレーダビッドソンの歴代エンジンとその特徴は?

ハーレーが誕生したのは今から120年も前で、記念すべき第一号は、キャブレターにトマトの空き缶を使用するなど手作り感あふれるバイクでした。

1909年にはハーレーの代名詞である「Vツインエンジン」が誕生し、本格的な量産が開始されました。
本記事では100年以上前のエンジンはもはや市場で流通する見通しがないため、それ以降に流通したフラッドヘッドエンジンからご紹介していきます。

フラットヘッド <1929〜1973年>

フラットヘッドエンジンは別名「サイドバルブ」と呼ばれ、1929年から44年間も製造され続けた歴史あるエンジンです。
名前の由来は、エンジン内部のシリンダーヘッドの合わせ面がフラットであることから来ています。
フラットヘッドエンジンはハーレーのみならず、トヨタや日産の乗用車にも採用されたモデルで、とても懐かしい印象を受けるエンジンです。
フラッドヘッドエンジンはそのレトロな外観はもちろんですが、単純な構造をしているためメンテナンスや修理が簡単なのも魅力です。
また、低回転時のトルクが強力なのでゆったりとクルージングする際も安定感があり、独特なエンジン音に魅了されてフラッドヘッドエンジンが搭載されたヴィンテージハーレーを買う方も多いことでしょう。
カスタマイズの自由度も高く、個性的なバイクに仕上げることができるエンジンです。

ナックルヘッド <1936〜1947年>

ナックルヘッドエンジンは1936年から12年間、フラットヘッドエンジンの次世代モデルとして生産されたエンジンです。

その特徴的なカムカバーやシリンダーヘッドの形状が「拳」に似ていたことから「ナックル」の名前が付きました。
その美しいデザインはアートとも言われ、今でも多くのライダーやコレクターにとって憧れの存在です。

ナックルヘッドエンジンはとても頑丈な構造をしているため、クルージングやツーリングなどの長距離走行に適しています。
その耐久性のおかげで現在でも希少ではありますが、実際に走れる個体が存在し、ヴィンテージハーレーの中でも人気のエンジンです。

カスタムの豊富さや独特なエンジンサウンドも人気の理由で、エンジン出力はフラッドヘッドの2倍近い性能があります。

パンヘッド <1948〜1965年>

パンヘッドエンジンは1948年にナックルヘッドの後継機として開発されたエンジンで、ナックルヘッドの弱点(オイル漏れ、オーバーヒート、ロッカーアームの弱さなど)を改善することを目的に開発されました。

エンジンとしての性能はナックルヘッドとほとんど同じでしたが、シリンダーヘッドがアルミに変わったことでオーバーヒートするリスクは格段に下がり、軽量化も実現できたモデルです。
このおかげで高出力化も実現できましたが、その副作用として故障が増えたため、1952年には改善されたパンヘッドが流通しました。

パンヘッドエンジンも根強いファンが多いエンジンですが、もしこのエンジンが乗ったハーレーを検討しているのであれば1952年以降のモデルをおすすめします。

ショベルヘッド <1966〜1985年>

ショベルヘッドエンジンという名前は、シリンダーヘッドの形状がショベルに似ていることに由来します。
強烈なエンジンフィーリングはハーレーの中でもトップレベルだと言われており、20年近い販売歴から今なお多くのファンに愛されているエンジンです。
中でも初期である1966年から1969年にかけて製造されていたものは、アーリーショベルという愛称で親しまれています。

当時、日本のメーカーが精巧な品質にもかかわらず安価なバイクを次々に発表していたので、ハーレーは苦戦を強いられており、その対抗策としてパンヘッドよりもさらに性能をUPさせたエンジンです。

具体的には、バルブリフトの構造変更などによって冷却効率や燃焼効率が向上しています。

エボリューション <1984〜1999年>

エボリューションエンジンは、ヘッド部分が四角い3層構造になっているので、別名「ブロックヘッド」、ハーレー愛好家の間では通称”エボ”と呼ばれています。

その3層構造のおかげで上から順番に解体でき、今までのエンジンと比べてメンテナンスが非常にしやすいことが特徴です。

また、初めてコンピューターを導入して設計されている近代的なエンジンなのも特徴で、平成中期まで製造されていたためパーツや車体そのものはまだ探しやすいほうだと言えるでしょう。
アルミパーツをふんだんに採用することで放熱性の向上と軽量化を実現し、ヘッドからクランクケースまでをボルトで繋ぐ事で強度も確保しています。

生産された15年間の間に、オイル漏れ対策や5速MT採用など改良を繰り返しているので新しい年式の方が性能が良いエボリューションエンジンだと言えます。

ツインカム <1999〜2017年>

従来までのワンカム構造を改めカムシャフトを2本にするという大改革が行われたのが、このツインカムエンジンです。

よりパワーが欲しかったハーレーユーザーに応えるため、また世界的に厳しくなった排ガス規制に対応するため、ツインカムの排気量は1450ccからどんどん大きくなっていきます。
2007年には1584ccが、2011年には1689ccが登場し、最終モデルでは1801ccまで大排気量化され、低速走行から高速走行時まで、ゆとりのある走行が可能となりました。

ツインカムは別名ファットヘッドとも呼ばれ、つい最近までメジャーだったハーレーの先進的なエンジンのひとつです。

ミルウォーキーエイト <2017〜現在>

9代目となるミルウォーキーエイトはパワーもトルクもツインカムから大幅にUPし、ふたたびカムシャフトを1本に戻しました。ツインカムと比較すると2バルブから4バルブへ、プラグもシングルからツインプラグにパワーアップしたことで、吸気・燃焼効率の上昇や高回転時の負担軽減を実現しています。

さらに、発電系統が改善され、アイドリング時の発電量が50%もアップしました。
この発電力によってロングツーリング時のスマートフォンやモバイル機器の充電にも対応できるようになった、まさに現代的なエンジンです。

そして内部にはバランサーを搭載し、エンジンの心地いい振動だけを残すことを目指して約75%の振動が軽減されています。これによって高速走行時の不快な振動を制御し、どんな速度でも持ちの良いサウンドを感じさせてくれるエンジンです。

レボリューションX <2021〜現在>

ミルウォーキーエイトと共に最新エンジンとして注目されているのが、レボリューションXです。
日本に導入されているのは排気量749ccのストリート750(XG750)のみとなります。

レボリューションXは水冷エンジンで、低回転型のトルク特性を持ち、アメリカの広大な大地を走るよりもヨーロッパやアジア圏の街乗りで扱いやすいエンジンなので、市街地でハーレーに乗りたい方にとっては最高のエンジンだといえるでしょう。

ショートストロークならではの軽やかに回るエンジンとそのスタートダッシュは、信号待ちなどでストップ&ゴーが多い日本で乗るととても快適に感じるはずです。
さらにハーレーらしいVツインエンジン特有の鼓動感は健在です。
しかし、街乗りに特化しているため鼓動感という意味に置いては他のモデルと比べるとやや控えめなイメージがあるエンジンでもあります。

ポルシェが開発したハーレーのエンジンとは?

2002年に創業100周年モデルのひとつとしてデビューしたVRSC V-RODに搭載されたエボリューションエンジンが、ポルシェと共同開発したエンジンとして有名です。
ポルシェといえば高級スポーツカーメーカーとして世界的に有名ですが、自動車メーカーに技術を提供するエンジニアリング会社という面も持っています。
当時は空冷エンジンを長く扱ってきたハーレーダビッドソンは水冷技術にノウハウがなかったため、ポルシェに技術提供を依頼し、そこで最初に産まれたのが「NOVA」と呼ばれる水冷V型4気筒エンジンでした。
エンジン設計はポルシェが担当し、1981年に排気量1000cc、2バルブのOHCエンジンが生み出され試作車「NOVAツーリング」に搭載されたのですが、当時ハーレーの役員たちによってハーレーの経営権が親会社から買い戻されたことにより、このNOVAエンジンは市販に至りませんでした。

その結果として、同時期に開発していた1340ccのOHV空冷V型2気筒の「エボリューション」エンジンにポルシェの技術を注力することになったのです。
こうして生まれたのが、2002年のVRSC V-RODに搭載されたDOHC水冷V型2気筒4バルブ、1131ccの「レボリューション」でした。
ハーレーの良さはそのままで、ポルシェらしいスポーティなエンジンに仕上がっている、と本国アメリカでは好評だったそうです。

旧型エンジンは修理や整備は可能?

これまでご紹介したエンジンの中で、ヴィンテージハーレー・クラシックハーレーと呼ばれるような旧型のエンジンは現代でも修理やメンテナンスは可能なのでしょうか?

エボリューション(1984)以前のモデルはパーツ自体が入手困難・高額

コロナ禍の影響で旧型バイクの需要が高まり、プレミア価格で取引されるようになった為、ただでさえ希少だったヴィンテージハーレーはさらに手に入りにくくなっています。

当然、そのようなハーレーに搭載されているナックルヘッド、パンヘッド、ショベルヘッドなどのエンジンは修理するための部品そのものが入手困難で、ネットオークションでは部品だけで数万円~数十万円で取引されています。
状態のよいエンジンを探すことも難しいため、これらの旧型エンジンを積んだヴィンテージハーレーを維持していくためには相当な金額と愛情が必要になることが予想されます。

オーバーホールや部品交換に高額な費用がかかりやすい

仮に修理・メンテナンスに必要な部品を手に入れたとしても、エンジンそのものは数十年も前のものなのであちこち痛んでいて当然です。
エンジンが故障した場合、原因は1つではなく複数の要因が重なることが多くなるので、おのずと修理には高額な費用がかかってきます。

オーバーホールする際も、数十年前のエンジンのオーバーホールをきちんと行える整備士が少なく責任も重くなるため工賃は高額になりやすいです。

整備・修理にはとても時間がかかる

そしてヴィンテージハーレーを所有する上で大きな課題となるのが、メンテナンスをしてくれる整備士の少なさです。
ハーレーダビッドソンの旧型エンジンを整備できるような整備士は高齢化が進んでおり、引退した方も多いので国内では基本的に旧車専門店にしか整備できる職人はいません。

結果、「一見さんお断り」と言われたり「修理の順番待ち1~2年」などの納期的な問題が発生します。

希少な部品の入手ルート確保、信頼できる整備士、多額の維持費、これらすべての条件をクリアできなければヴィンテージハーレーは所有できない、と言っても過言ではありません。

では、反対に最新のエンジンの魅力はどこにあるのでしょうか?
次項では最新のエンジン2種を比較し、それぞれの性能と魅力をご紹介します。

最新エンジンの性能を比較

最新のハーレーに搭載されているエンジンはミルウォーキーエイトとレボリューションXの2つです。
それぞれ違った特徴があり「どちらのほうが優れている」というものではありませんが、新車のハーレーダビッドソンを選ぶ上で参考になるかと思います。

ミルウォーキーエイト レボリューションX
排気量 107ci(1745cc)

114ci(1868cc)

117ci(1923cc)

VVT121(1977cc)

745cc
エンジン種類 空冷/油冷 45度V型2気筒 水冷 60度V型2気筒
最大トルク 183N・m (1923cc) 65N・m
回転数 アイドリング時850rpm 最大4000rpm

ミルウォーキーエイト <2017〜現在>

ミルウォーキーエイトは、大排気量化されたハーレーの中心となるビッグツインエンジンで、既存のエンジンよりも10%も高いトルクを発揮できます。
高圧縮比で、既存のエンジンより50%多い吸気量と排気容量を備えた4バルブシリンダーヘッドが特徴で、このシリンダーにはデュアルスパークプラグが採用されており、燃焼効率が各段にUPしています。
そして、シリンダーヘッドの最も高温になる領域の周りにはオイルまたは液体クーラントによる冷却をしているため空冷でありながら「油冷エンジン」であるとも言えます。

レボリューションXとの最大の違いはやはり排気量の大きさの違いです。
ミルウォーキーエイトには3種類の排気量が設定されており、いずれも全バイクの中で最大クラスの排気量です。

レボリューションXよりもロングツーリングや、高速走行に適したエンジンだと言えます。

レボリューションX <2021〜現在>

レボリューションXは日本では現在ストリート750(XG750)にのみ搭載されているエンジンです。

750ccというハーレーにしては小さな排気量ですが、その軽快さ、取り回しの良さやおかげで「都会向けスポーツバイク」と称されています。

従来のハーレーダビッドソン特有の荒々しいVツインのエンジンに比べると、アイドリングはかなりマイルドに仕上がっているため賛否両論あるようですが、加速の力強さは他のハーレーエンジンに負けないほど力強く、まさに停止・発進が多い日本の道路に適したエンジンだと言えます。

ミルウォーキーエイトとの最大の違いは「水冷エンジン」であることです。
これは前述したポルシェの技術を受け継いでおり、ポルシェの技術が詰まったエンジンに乗っていると思えば特別な気分でツーリングできるかもしれません。

水冷エンジンは空冷に比べて冷却効果が高く、エンジンが冷却水に包まれているため一定の防音効果も望めます。また、水冷エンジン全般に言えることですが、空冷よりもスロットルのレスポンスがよく、非常にシャープな走りができることが特徴です。

国内の都市部にお住まいの方や、通勤などの街乗りが多い人にとってはミルウォーキーエイトのような大型ではなく、都会的でスマートなエボリューションXの方が最適だと言えるでしょう。

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まとめ

ハーレーダビッドソンのエンジンは、旧型にはそれぞれハーレーらしい荒々しい良さが、新型には時代に合った先進的な乗り味と特徴があります。

ツーリングで旧型エンジンを大事に扱っている人がいれば、ぜひこの記事で得た知識を話題にしてコミュニケーションを取ってください。