- 最新のバイクにも暖機運転は必要?正しい手順・注意点・配慮の方法まで徹底解説
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最新のバイクにも暖機運転は必要?正しい手順・注意点・配慮の方法まで徹底解説

以前よりバイクにとって暖機は必要とされていましたが、最新のバイク事情においても同様なのでしょうか。
結論から言うと必須ではありませんが、最新のバイクにおいても暖機は推奨されているというのが現状です。
そこで本記事では、暖機および暖機運転の必要性や手順、注意点などを分かりやすく解説していきます。
周囲の迷惑にならないよう暖機する方法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
バイクの暖機に関する基礎知識
バイクに乗り始める前に行うのがエンジンの暖機ですが、すべてのバイクで同じように推奨されているわけではありません。
「キャブレター車」か「インジェクション車」かによって、マニュアルの記載も異なります。
まずは暖機運転とは何かという基本から、バイクの仕組みによる違いまで分かりやすく解説します。
暖機運転(アイドリング)とは?
暖機運転とは、バイクを走行させる前にアイドリング状態でしばらく待つことです。
人間の準備運動と同じで、冷え切ったエンジンや硬くなったオイルなどを、走行に適した状態まで温める目的があります。
このひと手間によって、バイク本来の性能を引き出し、各パーツをダメージから守ることに繋がります。
キャブレター車はマニュアルに記載あり
キャブレター車とは、アナログで機械的な装置でエンジンに燃料を送るバイクです。
キャブレター車は気温の影響を受けやすく、エンジンが冷えていると調子が安定しないことがあります。
そのため、取扱説明書にも「チョークを引いてエンジンを始動し、数分間暖機する」といった手順が明記されている傾向です。
インジェクション車だとマニュアルに記載なし
近年主流となっているインジェクション車は、コンピューターが気温などを感知し、自動で燃料の量を調整してくれます。
そのため、エンジン始動直後から安定的な走行が可能で、取扱説明書にも暖機運転が必須とは記載されていない傾向です。
キャブレター車とは異なり、バイクメーカーにおける見解としても、暖機は必須ではないとされているケースが見られます。
バイクに暖機運転は必要なのか?
結論として、最新のインジェクション車であっても、愛車をいたわり、性能を最大限に引き出すためには暖機運転が推奨されます。
ここからは、暖機運転が推奨される理由と具体的な暖機運転のやり方について、分かりやすく解説していきましょう。
バイクには暖機運転が推奨される
マニュアルに記載がなくても、最新のインジェクション車を含め、すべてのバイクで暖機運転は推奨されます。
エンジンがすばやく始動できても、内部のオイルや金属部品、タイヤなどは冷え切ったままだからです。
短い時間の暖機でバイクへの負担を減らせるため、可能な範囲で実践してみるのがおすすめと言えます。
暖機運転のやり方【キャブレター車】
キャブレター車の具体的な暖機運転のやり方は、以下のとおりです。
- チョークレバーを引く
- エンジンを始動させる
- 1,000~1,500回転程度で1〜3分ほどアイドリングさせる
- チョークレバーをゆっくりと元の位置に戻す
以上のステップで、キャブレター車の暖機は完了です。
エンジンが冷えていない場合は、チョークを使わなくても問題ありません。
暖機運転のやり方【インジェクション車】
続いて、インジェクション車の暖機について解説します。
インジェクション車の場合、ゆっくりと走る「走行しながらの暖機」に繋げるのが理想的です。
エンジンを始動させて10秒ほど待ったのち、10分程度の時間をかけて緩やかに走りましょう。
エンジンの回転数を急激に上げることなく、慣らし運転のイメージで走行するのがポイントです。
バイクの暖機運転が推奨される理由
ここでは、バイクの暖機運転が推奨される理由について解説していきます。
暖機がバイクにもたらす具体的なメリットを、メカニズムの観点から詳しく見ていきましょう。
金属パーツ間のクリアランスが確保される
エンジン内部のピストンをはじめとした金属部品は、熱でわずかに膨張することを前提に設計されています。
そのため、暖機によって各パーツが温まることで、部品同士の最適な隙間(クリアランス)が確保されるのです。
冷えたままの状態で高回転まで回すと、隙間が正常でないことから部品の異常な摩耗につながる恐れがあります。
エンジンオイルの循環が促進される
暖機運転でオイルを温めることにより、潤滑が必要な部分の隅々まで行き渡らせることができます。
したがって、部品同士の摩耗を防ぐためにも、暖機運転は効果的です。
逆に冷えているオイルでは、エンジン内部をスムーズに循環できない時間が生まれるため、わずかではありますが各部品にダメージを負わせる可能性があります。
グリス・オイルの充填が促進される
サスペンションやホイールの軸(ベアリング)など、車体のさまざまな可動部にグリスやオイルが使われています。
緩やかな走行の暖機によって、これらの潤滑剤も温められて馴染み、動きが滑らかになります。
ゴムパーツの負担が軽減される
各種ホース、パッキン類など、バイクには多くのゴムパーツが使われています。
ゴムは冷えると硬くなる性質があるため、優しい走りの暖機運転によって柔軟性を取り戻すのがおすすめです。
性能維持や寿命の向上に期待できます。
走り出し時のグリップ力低下を防ぐ
バイクのタイヤは、適温になることでゴムが柔らかくなり、路面をしっかり掴むグリップ力を発揮します。
冷えたタイヤは硬く滑りやすいため、ゆっくりとした暖機運転でリスクを抑えながら温度を高めていく方法がおすすめです。
安全なライディングの観点からも、暖機運転が推奨されます。
シフトフィーリングを良化させる
暖機運転によってミッションオイルが温まると、走り出し直後と比べてシフトチェンジが「カチッ」と小気味よく決まるようになります。
シフトフィーリングを良化させる点も、ゆっくりとした暖機運転で期待できる効果です。
バイクの暖機運転で注意すべきポイント
愛車をいたわるための暖機運転も、やり方を間違えればかえってバイクに負担をかけてしまう恐れがあります。
バイクの暖機運転で、特に注意すべきポイントを確認していきましょう。
長時間の暖機
暖機は大切ですが、5分を超えるような長時間のアイドリングはマイナス効果に繋がります。
燃料の無駄遣いになるだけでなく、エンジンやマフラーに悪影響を与えることになりかねません。
暖機はあくまで1〜3分程度を目安とし、あとはゆっくり走り出す「走行暖機」に切り替えるのがスマートです。
空ぶかし
早くエンジンを暖めるために、アクセルを空ぶかしする行為は絶対にやめましょう。
オイルがエンジン全体に行き渡っていない状態で回転数を急激に上げると、内部の金属パーツを傷つける原因に繋がります。
周囲への迷惑になる点も問題なことから、空ぶかしもマイナス効果を生み出すものとして注意が必要です。
チョークの戻し忘れ
キャブレター車で見られるミスが、チョークレバーの戻し忘れです。
チョークを戻し忘れたまま走行すると、燃料が濃すぎる状態が続き、プラグがかぶってしまう恐れがあります。
プラグがかぶるとエンジンが始動できなくなることもあるので、チョークの位置にも注意しておきましょう。
バイクの暖機で「うるさい」と言われないためには
バイク乗りにとっては何気ないエンジン音も、周囲の人にとっては「騒音」と受け取られてしまうことがあるので注意が必要です。
最後に、暖機運転の騒音で周囲に迷惑をかけないための具体的な対策や、ライダーとして心がけたいマナーについて解説していきます。
暖機する場所に気を付ける
暖機の騒音トラブルを避けるには、まず場所への配慮が基本です。
アパートやマンションの駐輪場など、音が響きやすい場所は避けましょう。
交通量の多い大通り沿いのような、音が聞こえても迷惑になりにくい場所までバイクを押して、暖機する手順がおすすめです。
走行しながら暖機する
短時間(1分程度)のアイドリング後、ゆっくり走りながらバイク全体を温める「走行暖機」は、騒音の問題にとっても非常に有効な方法です。
周囲への迷惑を極力抑えながら、バイクの負担軽減にも繋がります。
暖機する場所への配慮と併せると、さらに効果的です。
住民とのコミュニケーションに留意する
バイクの運用的な対策だけでなく、日頃からご近所の方と良好な関係を築いておくことも、騒音トラブルを防ぐうえで効果的です。
普段から気持ちよく挨拶を交わすなど、円滑なコミュニケーションを心がけるだけで、バイクへの理解を得られやすくなります。
逆にコミュニケーションが不足しているとよい印象を持たれずに、周囲からのクレームも生まれやすくなるでしょう。
マフラーの状態に気を付ける
マフラー内部の消音材が劣化したり、サビで穴が開いたりすると、排気音が大きくなってしまいます。
破損していなくても車検非対応の社外マフラーだった場合、通常の走行音ですら騒音とみなされることがあるので注意が必要です。
カスタムマフラーに交換する際は、騒音基準を満たした認証プレート付きの製品を選ぶようにしましょう。
まとめ
バイクの性能を維持し、長く乗り続けるためには、最新のインジェクション車であっても暖機運転が推奨されます。
エンジンや各パーツを保護し、オイルを循環させて本来の性能を発揮させるうえでも重要です。
ただし、長時間のアイドリングや空ぶかしは避け、正しい手順で行いましょう。
暖機時の騒音は周囲の迷惑になりやすいため、場所や時間にも配慮が求められます。
愛車と安全なバイクライフのためにも、適切な暖機を習慣にできるよう努めてみてください。
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