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バイクの騒音規制を分かりやすく解説!基準値・測定方法・車検対応のポイントも
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バイクの騒音規制を分かりやすく解説!基準値・測定方法・車検対応のポイントも

バイク 騒音規制

バイクの騒音規制は年式によって基準が異なるうえに、車検がないバイクでも違反で検挙される恐れがあります。

騒音規制そのものも次々と改正されているため、内容についてしっかりと理解しておく必要があるでしょう。

そこで本記事では、バイクの騒音規制に関する基礎知識から年式ごとの基準値、測定方法などを解説していきます。

社外マフラー装着時の注意点も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

バイクの騒音規制とは?

バイクの騒音規制と聞くと、単純に「マフラーの音量を取り締まるもの」と考えがちですが、実はその内容は少し複雑で複数のルールが存在します。

まずは、ライダーが知っておくべき基本的な規制の概要と、これまで見直されてきた騒音規制の全体像について解説します。

規制は加速騒音のみ

近年の新型バイクに対する騒音規制は「加速走行騒音」のみです。

2014年にヨーロッパ基準の規制に合わせることが決められ、これまであった近接騒音と定常騒音の規制は撤廃されています。

ただし、メーカーが新型車を販売する際は、加速騒音と併せて近接騒音も認定試験でクリアしなければなりません。

車検時の測定は近接排気騒音測定

バイクの騒音規制は加速騒音のみですが、車検で実際に測定されるのは「近接排気騒音」です。

加速騒音の測定には専用の広大なテストコースが必要で、全国の車検場で行うには現実的ではないからです。

そのため、メーカーが認定試験を受けた際に測定された「近接排気騒音」の基準内に収まっていれば、「加速走行騒音」もクリアしたとみなされます。

社外マフラーには識別プレートが必要

2016年の法改正を経て、社外マフラーには合法であることを証明する認証プレートの表示が必要になりました。

代表的な認証プレートとしては、以下のようなものがあります。

  • JMCAマーク(全国二輪車用品連合会による性能等確認済表示)
  • Eマーク(国連欧州経済委員会規則適合品表示)

走行中の騒音を測定するのは容易ではないため、認証プレートの表示で適合の可否が判断されます。

認証プレートがないマフラーは、不正改造とみなされる恐れがあるので注意が必要です。

騒音規制の推移

バイクの騒音規制は、社会的な要請に応じて年々厳しくなってきました。

環境問題への意識の高まりや、静かな生活環境を求める声が大きくなったことが背景にあります。

1971年の騒音規制では「定常騒音」と「加速騒音」の2つで、基準となる数値も比較的高い傾向にありました。

しかしながら、1986年、2001年、2010年と段階的に基準が強化され、2014年には欧州の国際基準(ユーロ規制)と調和した少し緩和された内容へ変化しています。

バイクにおける騒音規制の基準値

バイクにおける騒音規制の基準値は、バイクが製造された年式によって細かく定められています。

古い年式のバイクと近年のバイクでは、適用されるデシベル(dB)の値が異なるので注意が必要です。

ここからはバイクの年式別に、具体的な騒音基準値を詳しく解説していきます。

1985年以前の年式

1985年以前に製造されたバイクには、明確な騒音規制の数値基準がありません。

ただし、1971年以降に製造された小型二輪には、「定常走行騒音74dB」と「加速走行騒音86dB」の規制が適用されます。

1986年から2000年の年式

1986年から2000年の間に製造された251cc以上のバイクには、以下の規制値が適用されます。

  • 定常騒音74dB
  • 加速騒音75dB
  • 近接騒音99dB

この規制から、車検において近接排気騒音測定が導入されました。

また、加速騒音の基準値が、86dBから75dBへと厳格化されています。

2001年以降の年式

2001年以降に製造された251cc以上のバイクには、以下の規制値が適用されます。

  • 定常騒音72dB
  • 加速騒音73dB
  • 近接騒音94dB

これまでの規制と比較して、より厳しい基準が適用されることになりました。

近接騒音でわずか5dBの違いですが、理論上では1.78倍もの改善が求められます。

2014年4月以降の年式

2014年4月以降に製造されたバイクは、車種ごとに異なる基準値プラス5dBの規制値が適用されます。

事前に解説したとおり、規制値の定常走行騒音と近接排気騒音は廃止済みですが、車検では近接排気騒音測定で判断されます。

メーカーが認定試験を受けたときに、加速走行騒音と併せて測定する近接排気騒音が、その車種の基準値です。

プラス5dBの許容範囲は、部品の経年劣化を考慮して設けられています。

社外マフラー取り付け時の騒音規制

社外マフラー取り付け時の騒音規制も、車種ごとに異なる基準値プラス5dBの規制値が適用されます。

ただし、以下のように排気量ごとで規制値の上限が定められており、その値を超えてしまう社外マフラーは装着できません。

  • 50cc以下は84dB
  • 51ccから125ccまでは90dB
  • 126cc以上は94dB

騒音の測定方法

ここまでの解説でも何度か登場していますが、騒音の測定方法にはいくつかの種類があります。

それぞれの測定方法がどのように行われるのか、分かりやすく解説します。

近接排気騒音測定(車検時)

近接排気騒音測定は、マフラーから出る排気流の方向に対し45度、排気口と同じ高さで開口部から距離50cmの位置で測定します。

また、測定時のエンジン回転数は、バイクの最高出力によって以下のように規定されています。

  • 最高出力時の回転数が5,000回転を超える場合は、最高出力時の50%
  • そのほかの二輪車は、最高出力時の75%

車検時に行われる測定方法です。

加速走行騒音測定(型式認定時)

加速走行騒音測定は、テストコースの所定区間において、一定速度からアクセル全開で通過する際の騒音を測定します。

測定マイクの位置は、走行するラインに対して直角に7.5m離れた場所です。

メーカーが新型車を販売する前に受ける認定試験で行われます。

定常走行騒音測定(廃止)

定常走行騒音測定は、最高出力の60%にあたる回転数で走行したときの騒音を測るものです。

走行するラインから7.5m離れた位置で、発生する騒音を測定します。

すでに廃止済みで、この測定方法がバイクの騒音評価で用いられることはありません。

車検がないバイクの騒音規制

250cc以下のバイクは車検制度の対象外ですが、マフラーのカスタムで取り締まりの対象となる場合があるので注意が必要です。

ここでは、車検のないバイクが受ける恐れのある、騒音に関する罰則について解説していきます。

整備不良で違反

バイクの騒音が基準値よりも大きかった場合、「整備不良」として取り締まりを受ける可能性があります。

発覚すれば交通違反となり、違反点数2点、反則金7,000円(二輪車)または6,000円(原付)が科せられるので注意しましょう。

消音器不備で違反

「消音器不備」の違反は、サイレンサーが取り外されたマフラーに適用されます。

取り締まりを受けた場合は違反点数2点、反則金6,000円(二輪車)または5,000円(原付)が科せられます。

騒音運転等で違反

たとえ合法なマフラーであっても、不必要な空ぶかしなどは「騒音運転等」の違反に問われる可能性があります。

道路交通法によって、正当な理由なく著しい騒音を生じさせ、他人に迷惑を及ぼす運転が禁止されているからです。

違反となった場合、違反点数2点、反則金6,000円(二輪車)または5,000円(原付)が科されます。

不正改造には整備命令

騒音基準を著しく超えているといった悪質な不正改造には、「不正改造ステッカー」が貼付され「整備命令」が出されます。

命令を受けると、15日以内に改善し運輸支局で検査を受けなければなりません。

命令を無視すると、車検証・ナンバープレートが没収されることもあります。

また、不正改造を実施したもの(業者)には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

社外マフラーで車検に合格するには

社外マフラーで車検に合格するには、規制に適合しているか事前に確認しておくことが重要です。

社外マフラーへのカスタムを安心して楽しむために、車検をクリアするための具体的なチェックポイントを解説していきます。

適合表示の確認

社外マフラーで車検に合格するには、「認証プレート」の表示が絶対条件です。

このプレートがあることで、国の定める騒音・排出ガス基準をクリアしていることが証明されます。

認証プレートの代わりに、合法マフラーであることが分かる証明書の提示でも問題ありません。

社外マフラーを購入する際は、プレートの有無を確認しておきましょう。

自動車排出ガス試験結果証明書の準備

社外マフラーで車検を受ける際には、必ず「自動車排出ガス試験結果証明書(ガスレポ)」を提示しなければなりません。

この書類を提示することが、排出ガス規制をクリアしていることの証明になります。

ガスレポが見当たらない場合は、事前にメーカーへ問い合わせておきましょう。

経年劣化による破損にも注意

認証済みの社外マフラーであっても、経年劣化による破損があると車検に通らない恐れがあります。

破損によってマフラーに穴が空くと、排気音が大きくなって騒音の基準値を超えてしまうことがあるからです。

認証済みだからと安心せず、日頃からマフラーの状態をチェックしておくことが求められます。

まとめ

もっとも新しいバイクの騒音規制では、年式や車種によって騒音とされる基準値が異なります。

規制の対象となる値はひとつでありながら、複数の測定方法があるため複雑に感じられる場合もあるでしょう。

車検のないバイクも騒音に対する規制があるため、周囲に迷惑をかけるようなカスタムは認められません。

騒音に関する法令とマナーを守り、安全で楽しいバイクライフに努めましょう。