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バイクのキルスイッチを使いこなそう!役割から使い方、故障対応まで徹底解説
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バイクのキルスイッチを使いこなそう!役割から使い方、故障対応まで徹底解説

バイク キルスイッチ

バイクのキルスイッチは、ライダーが正しく理解しておかなければならない機能のひとつです。

本来は緊急時に使用するものですが、ライダーによっては日常的に活用しているケースも見られます。

そこで本記事では、キルスイッチの役割やさまざまな使い方、故障時の対処法などを分かりやすく解説していきます。

キルスイッチの操作でよくあるトラブルも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

バイクのキルスイッチが持つ役割

バイク初心者の方には見慣れないかもしれませんが、キルスイッチはバイクの安全装置として重要な役割を果たすものです。

まずはキルスイッチの基本として、機能の仕組みや使用時の注意点などを解説していきます。

キルスイッチとは?

キルスイッチは、バイクのエンジンを即座に停止させるためのスイッチです。

キーを使ったエンジンの停止が難しい場面であっても、キルスイッチを使うことで通電を遮断し、エンジンの稼働を速やかに止められます。

基本的には、緊急時での使用を想定した機能です。

キルスイッチの形状と位置

一般的にキルスイッチは赤い色をしており、右ハンドルのスロットル付近に配置されています。

スイッチの形状として多く見られるのは、以下の3タイプです。

  • 上下で切り替わるスライド式タイプ
  • 中央と両側で切り替わる回転式タイプ
  • セルスターターと一体化されたタイプ

キルスイッチの操作方法

キルスイッチの操作方法は非常に簡単で、表示に従ってスイッチを切り替えるだけです。

メーカー・車種・スイッチの形状が異なっていても表示の仕方は概ね共通しており、以下のように記載されています。

①時計回りの矢印
②時計回りの矢印と電力を示すマーク
③OFF
通電中:エンジンの稼働可
①時計回りの矢印に×マーク
②ON
遮断中:エンジン稼働不可

ON・OFF表示は市販のセルスイッチで多い傾向です。

回転式の場合は、エンジンが稼働できる状態を「RUN」「運転」などと表示します。

キルスイッチのメカニズム

キルスイッチの仕組みは、電源の取る場所で2種類に分けられます。

近年のバイクに多いバッテリー点火式だと、非操作時は配線が繋がった状態で、キルスイッチ操作時に点火系への通電をカットさせる仕組みです。

一方で古い小排気量車に見られるフライホイール点火式の場合、非操作時は配線が繋がっておらず、キルスイッチ操作時に遮断回路へ電流を流して点火をカットします。

いずれも点火をカットしてエンジンを止める点は同様ですが、燃料の供給がインジェクション方式だと、燃料噴射装置への通電も遮断されます。

キルスイッチを走行中に使用した場合

キルスイッチを走行中に使用した場合、燃料に点火が行われず徐々に失速していきます。

具体的には、ギアが入っていることでギア比に合わせた制動がかかり、その後はエンジンブレーキによって減速していく流れです。

キルスイッチは点火を止めるものであり、タイヤがロックして急停止するようなことは基本的に起こりえないでしょう。

転倒センサーがあればキルスイッチはいらない?

インジェクション方式を採用した近年のバイクには、転倒時に自動でエンジンを止めてくれる「転倒センサー」を装備している車種もあります。

転倒センサーがあればキルスイッチはいらないと考えることもできますが、センサーの稼働条件が車種によって異なる点にも注意が必要です。

また、センサーの解除にコンピューターのリセットが必要なケースも存在します。

その場の手動操作でエンジンの停止・復帰ができるキルスイッチも、バイクに必要な安全装置と言えるでしょう。

バイクのキルスイッチを操作するシーン

緊急時に使うのがキルスイッチの基本的な使用方法ですが、具体的にどのような場面で役に立つのでしょうか。

ここでは主な使用シーンと、その理由を紹介します。

バイクが転倒したとき

キルスイッチを操作するシーンとしてすぐに挙げられるのは、キー操作ができない形でバイクが転倒してしまったときです。

特にスロットルが空いた状態で転倒した場合はタイヤが高速で回転してしまうため、周辺の危険度も急上昇します。

また、転倒した際にガソリン漏れが見られる場合も、エンジンの停止は急務です。

バイクが転倒したときは、キルスイッチを使ってすばやくエンジンを停止させる必要があります。

スロットルワイヤーに不具合が生じたとき

バイクに起こりえるトラブルの事例として、スロットルを開くスロットルワイヤーに不具合が生じ、エンジンの回転数が戻らないケースがあります。

エンジンが高回転のまま走行し続ける恐れもあり非常に危険な状態ですが、このような場合にもキルスイッチを使ってバイクを停止させることが可能です。

ギアを入れておけばエンジンブレーキを使って減速できるため、大きな事故につながるリスクを低減できます。

バイクのキルスイッチは緊急時以外にも活用できる

キルスイッチの使用が想定されるのは基本的に緊急時だけですが、実は日常のちょっとしたシーンでも便利に活用できます。

ここからは、緊急時以外のキルスイッチ実用例を見ていきましょう。

ニュートラルに入れにくいときに

緊急時以外のキルスイッチ活用シーンとして最初に挙げるのは、ギアをニュートラルに入れにくい場面です。

新車で走行距離の少ない状態だとニュートラルに入れにくいこともあるため、覚えておくと役に立つことがあるでしょう。

具体的にはキルスイッチでエンジンを止め、クラッチを握らずにチェンジペダルを踏むことでニュートラルに入れやすくなります。

キルスイッチによるエンジン停止であればインジケーター類が表示されたままのため、ニュートラルの確認もしやすくなります。

高速道路の料金所を通過するときに

ETCのない高速の料金所ではハンドルから手を放すために、一度ニュートラルに入れる必要があります。

しかし、ギアを1速のままキルスイッチでエンジンを停止させれば、ニュートラルに入れる手順を省くことが可能です。

支払いが終わったらキルスイッチを走行状態に戻し、クラッチを握ったままエンジンをかければ、そのままスムーズにスタートできます。

高速道路の料金所を通過するときも、緊急時以外でキルスイッチが活用できるシーンと言えるでしょう。

バイクのキルスイッチも故障する恐れがある

緊急時に使用するキルスイッチですが、経年劣化やトラブルで故障することもあるので注意が必要です。

ここでは、キルスイッチが故障してしまう原因・発生する症状・交換方法について詳しく解説していきます。

キルスイッチが故障する原因

キルスイッチの主な故障原因は、接点の摩耗や腐食です。

使用する機会が少ないことから、故障に気付きにくい傾向もあるため注意しておきましょう。

キルスイッチの故障で発生する症状

キルスイッチの故障で発生する症状としては、以下のようなものです。

  • アイドリングが安定しない
  • エンジンがかからない

アイドリングが安定しない症状は、接点の摩耗や腐食が始まったばかりの初期段階で起こりやすい傾向です。

そこからさらに状態が悪化していくと、最終的にエンジンがかからない状態に陥ってしまいます。

キルスイッチの故障が疑われる場合、早めの部品交換やオーバーホールが必要です。

キルスイッチの交換費用

キルスイッチの交換費用ですが、部品代として1,000〜2,000円程度は必要になる傾向です。

バイクショップに依頼した場合の工賃は、2,000〜3,000円程度を想定しておきましょう。

具体的な金額は、部品の種類や依頼する店舗によって異なります。

自分で交換すれば工賃を節約できるため、メンテナンスの経験がある方は挑戦してみるのもおすすめです。

キルスイッチの交換手順

実際に自分でキルスイッチを交換する場合は、以下の手順を参考に作業を進めましょう。

  1. キルスイッチの配線をたどりカプラーを取り外す
  2. キルスイッチをハンドルから取り外す
  3. 購入したキルスイッチを取り付ける
  4. 購入したキルスイッチのカプラーを接続する
  5. 動作確認して完了

カプラーは、ツメを押しながら引き抜く必要があります。

固くて外れない場合は、上下左右にたわませながら少しずつ引き抜く方法がおすすめです。

カプラーを接続する際は確実に差し込まれていることを確認して、最後の動作確認に進んでください。

バイクのキルスイッチにまつわるトラブル

バイクのキルスイッチはあまり頻繁に使用する機会がないため、そこから発生するトラブルに冷静に対処できない場合もあります。

より安全で効率的な使い方をするためにも、以下に記載したバイクのキルスイッチにまつわるトラブルを理解しておきましょう。

セルは回るのにエンジンがかからない

キルスイッチが使用された状態だと、セルが回ってもエンジンは始動しません。

意図せずスイッチに触れていた場合は前兆もなくエンジンがかからなくなることから、なにか深刻なトラブルを疑ってしまう事例があります。

また、キルスイッチでエンジンを止めた後にスイッチを戻し忘れ、再始動できずに焦ってしまったという声も珍しくありません。

セルは回るのにエンジンがかからない状況に陥ったら、とりあえずキルスイッチを確認してみましょう。

バッテリーが上がってしまう

キルスイッチでエンジンを止めた場合、点火系への通電は遮断されますが、インジケーターや灯火類への通電はそのままです。

したがって、この状態のまま放置しておくと、バッテリー上がりにつながる恐れがあるので注意しましょう。

キルスイッチの戻し忘れに気付かずセルを何度も回すことで、最終的にバッテリーが上がってしまうケースも見られます。

イグニッションキーのオフを忘れる

キルスイッチだけでエンジンを止めると、イグニッションキーのオフを忘れてしまうケースがあるので注意しておきましょう。

イグニッションキーのオフを忘れることは、鍵を付けたままバイクから離れることを意味します。

バッテリー上がりの恐れだけでなく盗難リスクも高まるので、駐車時にキルスイッチを使用するのはおすすめできません。

キルスイッチがオフでエンジンがかからないときのチェック事項

エンジンがかからないトラブルでは最初にキルスイッチを確認すべきですが、当然キルスイッチ以外の要因も考えられます。

キルスイッチは走行位置にあるのにエンジンがかからないときは、以下のポイントをチェックしてみましょう。

ガソリンの残量

ガソリンの残量が少ないことで、エンジンが始動しなくなるケースがあります。

久しぶりにバイクに乗ってエンジンがかからない状況に陥った場合は、メーターやタンクを確認してみましょう。

フューエルコックのレバー位置

キャブレター車の場合、フューエルコックが「OFF」になっていると燃料が供給されません。

燃料が供給されなければエンジンは始動できないので、フューエルコックのレバー位置を「ON」または「RES」にしましょう。

チョークレバーの位置

寒い日にエンジンを始動させる場合、チョークが適切な位置にないとエンジンがかかりにくくなるので注意しましょう。

気温が低い環境では吸い込む空気の密度が濃くなり、相対的にガソリンの割合が少ない「薄い混合気」がエンジンに送られることになります。

「薄い混合気」では火がつきにくいため、チョークを引いて「濃い混合気」を作り出す必要があるのです。

なお、チョークを引いたまま走り続けるとエンジンに悪影響を与えるため、アイドリングが安定したらチョークは確実に戻しましょう。

バッテリーの状態

バッテリーの状態が悪いとセルモーターの動力が足らなくなり、エンジンの始動が難しくなる場合があります。

セルモーターの回りが弱い、音がするだけで動かない、などの場合はバッテリーの劣化を疑いましょう。

バッテリーの状態が悪くエンジンがかからないときは、ブースターケーブルで応急的に対処することが可能です。

根本的な問題を解消するためには、バッテリー交換を検討する必要があります。

プラグの状態

エンジン内に火花を飛ばすスパークプラグの状態が悪くても、点火が成功せずにエンジンが始動できません。

ガソリンでプラグが湿ってしまう「プラグかぶり」が原因であれば、パーツクリーナーによる洗浄で対処できる場合もあります。

ただし、プラグかぶりは再発する恐れも高いので、最終的に部品交換を求められるケースが多い傾向です。

ニュートラルに入っているか

ギアがニュートラルに入っていないと、エンジン始動が制限される車種もあります。

ギアがニュートラルに入っていることを一度確認し、再度エンジン始動を試みてみましょう。

サイドスタンドが出ていないか

サイドスタンドが出ていると安全装置が働き、エンジンがかからない車種も見られます。

サイドスタンドが少しでも定位置からずれていると安全装置が働くケースもあるため、土・泥・異物などにも注意する必要があるでしょう。

目視だけでなく手でサイドスタンドの位置を確認して、エンジンを再始動してみると成功する場合があります。

まとめ

キルスイッチはバイクの安全性を高める重要な装備です。

緊急時のエンジン停止が本来の使い方ですが、日常的にも特定の場面で活用できる側面を持ちます。

機能の仕組みと正しい使い方を知っておけば、キルスイッチにまつわるトラブルにも冷静に対処することが可能です。

使用する機会が少ないことから故障に気付かないケースも見られるため、日頃から動作確認しておき、より安全なバイクライフを楽しみましょう。