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バイク用レギュレーターを徹底解説!仕組みや故障する原因・交換方法・予防策も
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バイク用レギュレーターを徹底解説!仕組みや故障する原因・交換方法・予防策も

バイク レギュレーター

バイクの電装系トラブルを防ぐ上で注目しておきたいのが「レギュレーター」と呼ばれる部品です。

レギュレーターが故障すると、バッテリー上がりや突発的なエンジン停止につながる恐れがあります。

そこで本記事では、レギュレーターの役割や故障する原因、点検・交換方法などを詳しく解説していきます。

故障・トラブルを防ぐための方法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

バイク用レギュレーターに関する基礎知識

バイクの走行に欠かせないものとして挙げられるのが、電装系の部品です。

なかでも「レギュレーター」と呼ばれるパーツは、電装系部品の正常な稼働を維持する重要な役割を担っています。

レギュレーターとは

レギュレーターとは、発電された交流電力を直流電圧に変換し、その電圧を一定に保つための装置です。

バイクのエンジンが動くとジェネレーター(発電機)が電気を作り出しますが、そのままでは電圧が不安定で、バッテリーと電装系部品に悪影響を及ぼすことがあります。

そこでレギュレーターを設置し、適切な電圧へと整えて供給する仕組みが取られています。

レギュレーターが必要となる理由

バイクのエンジン回転数は常に変動するため、発電される電圧も併せて上下します。

高すぎる電圧はバッテリーの過充電を引き起こし、逆に低すぎれば充電不足でエンジン始動が困難になるなど、そのままでは問題も多数です。

レギュレーターがあることで不安定な電圧が制御され、安全で安定的なバイクの走行に結びついています。

電圧を一定に保つ仕組み

レギュレーターが電圧を一定に保てるのは、余分な電気を熱として放出しているからです。

電気から熱への変換は、機器内部にある半導体で行われます。

半導体自体は熱によるダメージで消耗していくことから、レギュレーターの多くは「フィン」と呼ばれる金属のひだを備えており、効率よく熱を外に逃がせるような形状になっています。

レクチファイヤとの違い

レクチファイヤ(整流器)とは、交流を直流に変換する装置です。

かつてのレギュレーターは、直流電圧を一定に保つ機能しか持っていなかったため、レクチファイヤとのセットで運用されていました。

現在のバイクでは、変換と電圧制御を一体化させた「レギュレートレクチファイヤ」の使用が一般的です。

レクチファイヤとのセット運用が少なくなった今、レギュレーターが指すのはレギュレートレクチファイヤのことになります。

バイク用レギュレーターが故障する原因と発生するトラブル

レギュレーターが正常に機能しなくなると、バイクの電装系にさまざまな不具合が生じます。

ここからは、レギュレーターの故障を引き起こす原因や、発生するトラブルの内容について紹介していきます。

レギュレーターが故障する原因

レギュレーターが故障する主な原因は以下のとおりです。

  • 熱による劣化:電流の制御時に発生する熱で内部回路が劣化
  • 配線不良:カプラーの接触不良や断線

実際の故障例や取り付け状況などから推測すると、熱によって劣化していくケースが多い傾向です。

レギュレーターの不具合で発生するトラブル

レギュレーターに不具合があると、以下のようなトラブルが発生します。

  • バッテリーへの充電が正常にできない
  • バッテリーの劣化を早める
  • ヘッドライトの光量が不安定になる・バルブが切れる
  • エンジンが始動しない、または走行中に停止する

レギュレーターの不具合で発生するトラブルには、走行の安全性に関わる内容も含まれます。

レギュレーターの故障は、なるべく早く察知する必要があるでしょう。

バイク用レギュレーターの点検方法

レギュレーターの故障を早く察知するためには、機器本体の定期的な点検が必要です。

以下に記載した方法を参考に、バイク用レギュレーターの点検を実施しましょう。

レギュレーターの熱や電装品のチェック

簡易的な点検方法として挙げられるのは、本体の熱や電装品の状態チェックです。

エンジン停止直後にレギュレーター本体にまったく熱が発生していない、もしくは異常に熱を持っている場合はレギュレーターの故障が疑われます。

また、エンジン稼働中にウインカーやホーンなどの電装品を使用し、ヘッドライトの明るさが暗くなった場合もレギュレーターの故障を疑うべきです。

テスターによる電圧測定

より確実に故障を察知する方法としては、テスターを使ったバッテリー端子の電圧測定があります。

正確な数値は車種ごとのマニュアルを参照する必要がありますが、バッテリーやレギュレーターが正常な場合は以下の数値を示します。

  • エンジン始動前:13V前後
  • アイドリング時:14V程度
  • 回転数上昇時:14.3V程度

上記の目安で回転数上昇時の電圧が下がったり、15V近辺まで上がったりすると、レギュレーターが故障している可能性が高いです。

カプラー間の抵抗値チェック

カプラー内にある端子の抵抗値チェックによって、レギュレーターの故障を察知する方法もあります。

抵抗の適正値やどの端子間を測定するのかはサービスマニュアルに記載されているので、それらの情報を参照しながら確認していきましょう。

規定値と異なる数字が計測された場合は、レギュレーター故障の可能性が高いです。

バイク用レギュレーターの交換方法

レギュレーターの異常や故障が判明した場合、早めの交換が推奨されます。

主な選択肢はバイクショップに依頼するか、自身で交換するかの2択です。

①バイクショップに依頼

交換作業に少しでも不安がある場合は、バイクショップに依頼する方法がおすすめですが、以下の費用を用意する必要があります。

  • レギュレーター購入費用:約5,000円〜16,000円
  • 交換工賃:約3,000円〜10,000円

レギュレーターの設置位置によって、求められる工賃が変動します。

費用を極力抑えたい場合は、次に解説する自身での交換に挑戦してみましょう。

②自身で交換

レギュレーターの交換作業は難易度も高くないため、設置場所さえ分かれば自身で行うことも可能です。

かかる費用は、レギュレーターの本体価格のみで済みます。

必要となる工具

交換作業に必要な工具は、以下のとおりです。

  • ドライバーまたはレンチ
  • テスター

ドライバーやレンチの種類は、レギュレーターの取り付けボルトによって異なります。

交換手順

レギュレーターを交換する際の一般的な手順は以下のとおりです。

レギュレーター本体を覆っているカバーがある場合は、あらかじめ取り外しておきます。

  1. エンジンを停止させ、バッテリーのマイナス端子を外す
  2. バッテリーのプラス端子を外す
  3. レギュレーター本体を固定しているボルトを外す
  4. レギュレーターのカプラーを抜く
  5. 新しいレギュレーターのカプラーを接続し、本体を固定する
  6. バッテリー端子をプラス、マイナスの順で戻す
  7. テスターで電圧を確認する

正常な範囲の電圧が確認できれば、レギュレーターの交換作業は完了です。

バイク用レギュレーターの故障を防ぐ方法

最後に、バイク用レギュレーターの故障を防ぐ方法について解説していきましょう。

レギュレーターは熱で消耗するため、対策のポイントは冷却効率を高めることにあります。

ヒートシンクや放熱板を取り付け

レギュレーター本体に、新たなヒートシンク(放熱フィン)を取り付けて、放熱性を向上させる方法があります。

熱伝導率の高い銅板を、本体に取り付ける方法も有効です。

いずれも部材の加工が必要になるため、作業の難易度は高くなりますが、冷却効率を高めるには効果的な方法と言えます。

冷却ファンを設置

空冷が不十分な場所に設置されている場合は、小型の冷却ファンを追加することで温度上昇を抑えられます。

電気的な加工が必要となるうえに設置スペースの問題もあるため、こちらの方法も作業難易度が高い部類です。

しかし、空冷効果の上昇は見込まれるため、故障を防ぐ効果は期待できます。

外気流入用ダクトの作成

走行中に外気を効率よく取り込めるように、カウルの加工や導風ダクトの追加を施す方法もあります。

レギュレーター本体が覆われている場合、ヒートシンクや冷却ファンの設置よりもこの方法がおすすめです。

なぜなら、レギュレーター周りの暖められた空気が流れないと、高い放熱効果も制限されてしまうからです。

バイクの状況によっては外気流入用ダクトの作成が、もっとも高い効果を生み出す場合もあります。

電圧計の取り付け

レギュレーターの故障を防ぐ方法ではありませんが、電装系部品の異常を早く察知する方法としておすすめなのが電圧計の取り付けです。

ハンドル周りに電圧計を装着すれば、走行中も電圧状況をリアルタイムで監視できます。

レギュレーターのチェックも可能なため、特に問題がなければ電圧計の取り付けを検討してみましょう。

まとめ

レギュレーターはバイクの電装系部品を守る重要なパーツです。

突然のトラブルを避けるためにも、定期的な点検を心がけましょう。

レギュレーター本体の冷却効率を高めるとトラブル防止につながるので、故障のリスクを抑えたい方は本記事を参考に対策を実施してみてください。