- バイクのラジエーターとは?基礎知識やメンテナンス方法を徹底解説
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バイクのラジエーターとは?基礎知識やメンテナンス方法を徹底解説

バイクのラジエーターはエンジンの熱を逃がす重要なパーツですが、メンテナンスを怠っていると性能も低下してしまいます。
最悪の場合、エンジンにダメージを与えることもあるため、安全面から見ても定期的な整備が必要です。
そこで本記事では、ラジエーターの役割や構造を解説しながら、外装・内部・関連部品のメンテナンス方法を詳しく紹介しています。
愛車を最適な状態に保つためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
バイクのラジエーターに関する基礎知識
まずは、バイクのラジエーターに関する基礎知識から解説していきます。
ラジエーターの役割
バイクのラジエーターは、エンジンの冷却を担う重要なパーツです。
エンジンの燃焼により発生する熱を効率的に放出し、正常に稼働するための適切な温度を維持します。
ラジエーターが機能しないとオーバーヒートを引き起こし、エンジンの故障や深刻な事故に繋がる恐れがあります。
ラジエーターの基本的な構造
ラジエーターの大部分は、放熱用のフィンを備えたラジエーターコアで構築されています。
エンジンから送られてきた冷却水がラジエーターコア内のチューブを通過し、設置されたフィンによって放熱する仕組みです。
走行風や冷却ファンの力も利用して効率よく熱を放熱させ、温度の下がった冷却水は再びエンジンへと戻されます。
ラジエーターの関連部品
エンジンの冷却システム全体を見ると、放熱を担うラジエーターのほかに以下のような部品も組み込まれています。
冷却ファン
冷却ファンとは、冷却水の温度が一定以上になると作動し、ラジエーターの冷却機能を補助する機器です。
渋滞時や低速走行時のような、走行風が発生しにくい状況で重要な役割を果たします。
サーモスタット
サーモスタットは、エンジンの温度を監視しつつ冷却水の流量を制御する部品です。
たとえばエンジンが低温状態のときは、ラジエーターに冷却水を送る流れをストップさせ、適切な温度へ上昇するまでエンジン内を循環させます。
ラジエーターキャップ
ラジエーターの冷却水は、冷却効果を高めるために加圧状態で循環しています。
その加圧状態を作り出す部品が、ラジエーターキャップです。
また圧力が高まり過ぎた場合に圧力弁を開いて、リザーブタンクへ冷却水を逃がすという役割も担っています。
リザーブタンク
ラジエーターキャップの働きで圧力弁が開放された際に、冷却水の移動先となるのがリザーブです。
圧力が下がってくると、逆にリザーブタンクから冷却水が流れて、適切な圧力へとコントロールされます。
カスタムパーツのラジエーターガードについて
ラジエーターガードは、飛び石や泥などの異物からラジエーターを保護するパーツです。
ラジエーターの損傷具合がひどくなると冷却効率の低下に繋がるため、エンジンへの負荷予防に役立ちます。
また、パーツによってはデザイン性も高まるため、見た目をカスタマイズしたいライダーにも人気です。
必須ではありませんが、性能維持やドレスアップを重視するなら装着をおすすめします。
バイクのラジエーターに必要なメンテナンス【外装部分】
それでは、バイクのラジエーターに必要なメンテナンスについて解説していきます。
洗車のタイミングでチェックしたい、外装部分から見ていきましょう。
ラジエーター外装部分の洗浄
ラジエーターの外装部分には、走行中に泥やホコリ、虫の死骸などが付着しやすく、冷却性能を低下させる原因となります。
よって定期的な洗浄を行い、常にラジエーターが効率よく機能する状態を保つことがポイントです。
洗浄の手順
洗浄の手順は以下のとおりです。
- エンジンを停止させ完全に冷却させる
- 低圧の水で汚れを洗い流す
- 柔らかいブラシで残った汚れをやさしく落とす
- 異物がある場合は丹念に取り除く
- 水気を十分に拭き取り、乾燥させる
注意すべきポイント
洗浄時に注意すべきポイントは以下のとおりです。
- 高圧洗浄機はフィンを破損させる可能性があるため使用しない
- ラジエーター表面を傷つけないよう、硬いブラシは避ける
- 水分を十分に乾燥させないと、錆や腐食の原因になる
デリケートなフィン部分を傷つけないように、力を入れず時間をかけてゆっくり作業しましょう。
バイクのラジエーターに必要なメンテナンス【機器内部】
次にラジエーターの内部に必要なメンテナンスを解説していきます。
ラジエーターの内部もメンテナンスの基本は洗浄です。
ラジエーター内部の洗浄
ラジエーターを循環している冷却水には、時間の経過とともに金属や錆びなどの不純物が蓄積されていきます。
放置しておくとラジエーターの内部も汚れていき、冷却性能の低下を招く恐れがあるので対処が必要です。
冷却水の定期的な交換と合わせて、機器内部の洗浄も実行しましょう。
洗浄の手順と注意すべきポイント
ラジエーター内部を洗浄する基本的な手順は以下のとおりです。
- 冷却水の抜き取り
- 洗浄
- 新しい冷却水の充填
- 冷却水のエア抜き
- 冷却水の循環
手順の内容と注意すべきポイントを詳しく解説します。
①冷却水の抜き取り
最初にラジエーター内で循環している冷却水を抜き取ります。
エンジンの温度が下がった状態で作業を開始してください。
- ラジエーターキャップを少し緩める
- 圧力が完全に抜けるまで待つ
- ラジエーターキャップを外す
- ドレンボルトを開ける
- 冷却水が抜けきるまで待つ
ラジエーターキャップを緩めるのは、圧力が抜け始める位置までで大丈夫です。
ドレンから出てくる冷却水は、バケツや容器などを受けとめましょう。
抜き取った冷却水は環境に有害な物質を含むため、そのまま流すことは禁じられています。
以下の方法で廃棄してください。
- 整備工場やガソリンスタンドに廃棄を依頼する(有料の場合もあり)
- 紙おむつに吸収させて燃えるゴミとして廃棄する
- 廃油処理パック・布・新聞紙などに吸収させて燃えるゴミとして廃棄する
燃えるゴミとして処分する場合、液体が漏れ出ていると処分できないので十分注意しましょう。
②洗浄
ラジエーター内部を水流で洗浄します。
- ラジエーターキャップの部分から水流を流し込む
- ドレンから流れ出る水をバケツや容器などを受けとめる
- 流れ出る水がきれいになったら水流を止める
- バイクを左右に振って残っている水を出す
水流は、直接ホースを差し込んで流し込んでください。
ドレンから流れ出た水も冷却水が混じっているため、適切に処理する必要があります。
③新しい冷却水の充填
洗浄が終わったら、新しい冷却水を充填します。
- ドレンボルトを閉める
- ラジエーターキャップの場所から新しい冷却水を入れる
- 満水になったらラジエーターキャップを閉める
冷却水のレベルゲージはリザーブタンクに表示してあります。
④冷却水のエア抜き
ラジエーター内のチューブに残っているエアを抜きます。
- 車体を軽く揺らしてエアを抜く
- 冷却水の水位を確認する
チューブに残っているエアが抜けると、冷却水の水位が低下します。
水位が低下したら冷却水を追加して、エア抜きの作業を継続しましょう。
冷却水の水位が変化しなくなったら、エア抜きの作業は完了です。
⑤冷却水の循環
最後は冷却水をラジエーター内に循環させる作業です。
- エンジンをかける
- 冷却水の水位を確認する
冷却水の循環が進むことでも水位が低下します。
エンジンを止めて冷却水を追加しましょう。
エア抜きのときと同様に、水位が安定するまで冷却水の追加を繰り返します。
エンジンをかけても冷却水の水位が変化しなくなったら、すべての作業は完了です。
バイクのラジエーターに必要なメンテナンス【関連部品】
最後は、ラジエーターの関連部品に必要なメンテナンスについて解説していきます。
ラジエーターキャップ
ラジエーターキャップは、冷却水の圧力を適切に調整する役割を担っています。
ゴムパッキンの摩耗や亀裂、スプリング部分のへたりなどが見られたら、なるべく早い交換が必要です。
劣化したままにしておくと、冷却水漏れやオーバーヒートの原因になるため、清掃メンテナンス時の点検を推奨します。
リザーブタンク
リザーブタンクが汚れていると冷却水の確認が困難になるため、状況に応じてタンク内の洗浄も必要です。
取り外したタンク内を中性洗剤で満たし、しばらくの間つけ置きしましょう。
傷つけないように、柔らかめのブラシを使って汚れを落としたら、しっかりすすいで乾燥させます。
タンクをもとの位置に戻したら、メンテナンスは完了です。
まとめ
バイクのラジエーターは、エンジンのオーバーヒートを防ぐために欠かせないパーツです。
清掃メンテナンスや部品の点検を定期的に行い、適正なエンジンの冷却性能を長く維持しましょう。
表面のフィン部分を傷つけない、手順をしっかり守る、古い冷却水は適切に処理する、このあたりが清掃メンテナンスの重要なポイントです。
メンテナンスを徹底することでトラブルを未然に防ぎ、安心快適なバイクライフを送りましょう。
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