- バイクのフロントフォークとは?構造やメンテナンスの方法について解説
- バイク記事
バイクのフロントフォークとは?構造やメンテナンスの方法について解説
バイクのフロントフォークは、走行の安定性や操縦性能に関わる重要な部品です。
しかし、役割や構造について詳しく知らない方も多いでしょう。
本記事ではフロントフォークの役割や構造、さらに正立・倒立の違いまで詳しく解説していきます。
メンテナンス方法も紹介しているため、フロントフォークへの理解を深めましょう。
目次
バイクのフロントフォークとは
バイクのフロントフォークとは、どのようなパーツでしょうか。
まずは役割や構造、種類について解説していきます。
フロントフォークの役割
フロントフォークとは、前輪を両側から支える金属製の棒のことです。
前輪がブレないように固定することと、走行時の衝撃を和らげる2つの役割があります。
バイクの安定性と操作性を支えるカギであり、安全で快適な走行を実現するために欠かせない部品です。
フロントフォークの構造
フロントフォークには、スプリングとオイルダンパーが内蔵されています。
内側のインナーチューブが伸縮することにより、揺れや衝撃が吸収される仕組みです。
スプリングには衝撃を和らげる役割がありますが、バネが単体で働くと跳ね返りが発生してしまいます。
これを防ぐために、オイルダンパーが滑らかに衝撃を吸収する設計になっています。
オイルダンパーは柔らかいほうが操作性は安定しますが、硬度があると大きな衝撃に耐えることが可能です。
そのため、メーカーはバイクの用途によってダンパーの柔らかさや硬さを変えています。
フロントフォークの種類
フロントフォークには、以下の3つの種類が存在します。
- テレスコピック式
- スプリング式
- トレーディングアーム式
種類ごとの特徴について、解説していきます。
①テレスコピック式
テレスコピック式は筒状のインナーチューブとアウターチューブがあり、内側もしくは外側にスプリングが設置されている構造です。
伸縮動作や形状がテレスコープ(望遠鏡)に似ていることから、この名称がつけられました。
現代のフロントフォークシステムの中で、最も使用率が高くなっています。
②スプリンガー式
スプリンガー式とは、緩衝と懸架を担うフォークがそれぞれ別になった方式のものを指します。
主に旧式のバイクで採用されていため、性能では現代のテレスコピック式よりも劣っています。
しかしレトロな見た目から、ハーレーではカスタムとして今でも人気が根強いです。
③トレーディングアーム式
トレーディングアーム式は、左右のフォーク下にあるリンクロッドが回転する構造です。
排気量の小さいスクーターなどに使用されていましたが、多くはテレスコピック式に置き換えられました。
バイクのフロントフォークの正立と倒立の違い
フロントフォークには正立と倒立があります。
ここでは、それぞれの特徴や違いについて解説していきます。
正立フォークの特徴
正立のフロントフォークはインナーチューブが上部、アウターチューブが下部に設置されている構造です。
コストと性能のバランスが取れているため、多くのバイクに採用されています。
とくに、しなやかなバイクとの相性が良く、なかにはスポーツバイクにも用いられています。
倒立フォークの特徴
倒立フォークは正立フォークと反対に、インナーチューブが下部、アウターチューブが上部に設置されている構造です。
車輪からの振動の伝わりにくさや強度を比較すると、倒立フォークのほうが優れています。
しかし、価格が高いため正立フォークほど使用されていません。
主に、競技用車両などの走行性能を重視するバイクに採用されているケースが多いです。
バイクのフロントフォークの不調で起こりやすいトラブル
フロントフォークの不調が原因で起こるトラブルについて、解説していきます。
オイル漏れ
フロントフォークの内部にある、フロントオイルが漏れることがあります。
オイル漏れが発生すると、ディスクブレーキに付着してブレーキの効きが悪くなったり、サスペンションの性能が落ちたりして危険です。
オイルが漏れる原因としては、以下のとおりです。
- インナーチューブの劣化・破損
- アウターチューブの劣化・破損
- オイルシールの破損
- ダンパーロッドボルトの緩み
- オイルの入れすぎ
- 銅ワッシャーの劣化・破損
オイル漏れに気がついたら、なるべく早めに修理を依頼しましょう。
サビの発生
インナーチューブの表面にはメッキ加工が施されていますが、薄くて強度も低めです。
よって、小さな傷から水が侵入して、フロントフォークにサビが生じてしまう可能性があります。
サビがオイルシールを傷つけてしまうとオイル漏れに繋がるため、放置せずに対応しましょう。
また、フロントフォークのサビは地域によって発生頻度が異なり、とくに海沿いは塩分が含まれた海風が吹くため、金属が反応しやすくなります。
豪雪地帯も融雪剤が道路に散布される影響で、フロントフォークだけでなく下周りにもサビが発生しやすいため注意が必要です。
フロントフォークのサビを予防するには、バイクカバーやフォークブーツで保護するのが有効です。
防錆シャンプーや防錆スプレーは市販されているため、ぜひ活用しましょう。
バイクのフロントフォークのメンテナンス方法・費用の目安
最後に、フロントフォークのメンテナンス方法や費用の目安について、解説していきます。
オーバーホール
フォークオイルは劣化すると粘度が高まって詰まりの原因となるため、定期的にフロントフォークをオーバーホールする必要があります。
オーバーホールの目安は走行距離1万km〜2万kmごと、または2年ごとです。
バイクのメンテナンスに慣れている場合は、オイル交換を自分で行うこともできます。
しかし、フロントフォークの分解作業を伴うため、難しいと感じる方は無理をせずにプロの修理業者に依頼しましょう。
オーバーホールの工賃は、1万円〜3万円が相場です。
オイル交換
フロントフォークからのオイル漏れを予防するためには、定期的なオイル交換が効果的です。
フォークオイルの交換頻度は、走行距離が5,000km〜1万kmごとに1度か、1年に1度が目安です。
オイル交換の際はオイルの入れ替えだけではなく、不純物も除去しなければなりません。
異物が混入した状態で放置すると、オイルシールやインナーチューブが傷つく恐れがあります。
安全かつ快適にライディングを楽しむためにも、定期的に点検しましょう。
ダストシールの交換
フロントフォーク内部へのゴミの侵入を防ぐ役割を持つのが、ダストシールです。
ただし、ダストシールはゴムでできているため、長期間使い続けると劣化します。
サビの発生やオイル漏れの原因となるため、ひび割れや亀裂を確認したらすぐに交換しましょう。
ダストシールを交換するためには、フロントフォークの取り外しや分解が必要です。
組み立てにも専門的な知識が必要なため、バイク整備のプロに依頼すると良いでしょう。
シリコンスプレーの散布
フロントフォークを手軽に保護したい場合は、シリコンスプレーの活用がおすすめです。
シリコンスプレーには水分を弾いてゴムを保護する効果があるため、サビの予防が期待できます。
散布する際は、フロントフォークの上部までしっかりと吹き付けるのがポイントです。
ホームセンターやバイクショップでも購入できるため、ぜひ1本持っておきましょう。
まとめ
本記事では、フロントフォークの役割や構造について詳しく解説しました。
フロントフォークは、走行時の安全性や安定性を維持するためには欠かせないパーツです。
ただし、フロントフォークを長期間使用すれば、オイル漏れやサビが発生する可能性があります。
もしも問題が発生して自分で修理するのが難しいと感じた場合は、無理をせずにプロの業者へ依頼するのが安心です。
定期的なメンテナンスは自分でも可能なため、欠かさずに行いましょう。
PREV | ARCHIVE | NEXT |