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バイクのブレーキパッドを交換する手順を解説!種類や点検方法も紹介
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バイクのブレーキパッドを交換する手順を解説!種類や点検方法も紹介

バイク ブレーキパッド

「ブレーキの効きが悪い」「交換時期が分からない」「どのパッドを選べばいいの?」などと悩んでいませんか。

ブレーキの不具合は大きな事故につながる恐れもあるため、放置しておくのは危険です。

そこで本記事では、バイクのブレーキパッドについて徹底解説していきます。

ブレーキパッドの種類や点検方法、自分で交換する場合の手順や併せて見ておきたいメンテナンス箇所まで紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

バイクのブレーキパッドは安全性に関わる重要なパーツ

バイクの安全性を左右する重要なパーツのひとつが、ブレーキパッドです。

現在市販されているバイクの多くは、ディスクブレーキと呼ばれるブレーキシステムが採用されています。

ディスクブレーキとは、ホイールに固定されているブレーキローターをブレーキパッドで挟み込み、バイクを減速・停止させる仕組みです。

安全なライディングのためには、ブレーキパッドについてしっかりと理解しておく必要があります。

ブレーキパッドの種類と特徴

ブレーキパッドは、製法の異なるレジン系とメタル系の大きく2つに分かれます。

使用される素材や混合比率によってさらに細分化されますが、ここでは3種類に分類して解説していきます。

シンタードパッド【高い制動力】

シンタードパッドは金属系の素材を高温・高圧で焼結したもので、メタル系パッドに分類されます。

ブレーキを握った分だけしっかりと止まってくれる高い制動力が特徴で、雨天時に性能が落ちにくい点も魅力のひとつです。

制動力が重視されるスポーツ走行に向いており、レースユースのモデルに多く見られます。

一方でブレーキローターへの攻撃性が高い場合もあり、タウンユースだとコストが割高になる恐れもあるため注意が必要です。

セミメタルパッド【ベーシックな性能】

樹脂(レジン)と金属成分を混合して成形されたパッドを、セミメタルパッドと呼びます。

一定かつダイレクトに止まる制動力を備えており、純正パーツとして組み込まれていることも多いベーシックな性能が特徴です。

ブレーキローターへの攻撃性も低く、比較的リーズナブルな価格で手に入るため、街乗りや一般的なツーリング用途に適しています。

雨天時に性能が落ちる傾向にありますが、タウンユースには十分なスペックを満たしているパッドです。

オーガニックパッド【コントロール性が高い】

オーガニックパッドとは、天然の繊維素材と樹脂を使って作られるブレーキパッドです。

特徴はオーガニックパッド特有のブレーキフィーリングで、優しいタッチによるコントロール性の高さがライダーの支持を集めています。

レース向きの制動力を発揮するのは難しいですが、ブレーキローターへの負担は少ないため、ストリートでの使用におすすめです。

ブレーキパッドの交換時期を察知する目安

ブレーキパッドは消耗品であり、定期的な点検と交換が必要です。

以下のポイントを目安に、適切な交換時期を見極めましょう。

交換時期の目安①走行距離

ブレーキパッド交換の目安としてよく挙げられるのは、バイクの走行距離です。

具体的には5,000km〜10,000kmで、ブレーキパッドの交換が必要とされています。

ただし、ライディングスタイルやよく使用する道路の環境によって摩耗の速度は変動するため、走行距離だけを判断基準とするのは推奨しません。

交換時期の目安②異音

走行距離とは別に、ブレーキパッド交換の目安とされるのが異音の発生です。

ブレーキング時に「キーキー」「ゴリゴリ」といった異音が発生する場合、ブレーキパッドの摩耗が推測できます。

特に金属が擦れるような音の場合、摩擦材が完全にすり減っている恐れもあるため、早急な点検が必要です。

具体的なチェック方法

走行距離や異音は交換時期の目安でしかないため、実際に交換するタイミングは以下の部分で判断しましょう。

  • 使用限界を示す溝の状態(溝がないモデルもあり)
  • ベースプレートを除いた摩擦材の厚み

使用限界を示す溝が消えかかっている場合は、早めの交換が推奨されます。

厚みの具体的な判断基準は以下のとおりです。

  • 5mm以上:交換の緊急性なし(異常が感じられる場合は別)
  • 5mm以下:継続的な乗車前のチェックを推奨
  • 3mm以下:交換を検討
  • 1mm以下:早めの交換が必要

定規で正確に測定するのは難しいので、100円硬貨(厚み約1.7mm)と比較して厚みを判断してみてください。

特に、スポーツ走行や遠距離ツーリングの前は、目安に関わらずブレーキパッドの厚みをチェックしておきましょう。

車検の検査項目は制動力になるため注意

251cc以上のバイクで行われる車検ではブレーキの制動力がチェック項目で、ブレーキパッドの厚みは確認されません。

仮にブレーキパッドの厚みが2mmであっても、検査時に規定の制動力が認められれば、車検に通る可能性があります。

交換タイミングを見逃してしまう恐れがあるため、注意しておきましょう。

なお、ディーラーやバイク専門店に車検を依頼するのであれば、ブレーキパッドの状態によって交換を提案してくれます。

バイクのブレーキパッドを自分で交換する手順

ブレーキパッドの交換作業をショップに依頼した場合、2,000円〜5,000円程度の工賃がかかります。

ある程度のメンテナンス経験が求められますが、作業自体は自分で行うことも可能です。

ここでは、バイクのブレーキパッドを自分で交換する手順を紹介します。

必要となる工具

ブレーキパッドの交換に必要な工具・消耗材は以下のとおりです。

  • メガネレンチやラチェット
  • マイナスドライバー
  • 六角レンチ
  • キャリパーピストン押し戻しツール(ウォーターポンププライヤーで代用可)
  • ブレーキパッドグリス
  • 真鍮ブラシ
  • パーツクリーナー
  • ウエス

上記を用意したら交換作業に移りましょう。

交換手順

具体的な交換手順は以下のとおりです。

手順①キャリパーの取り外し

まずは以下の手順でキャリパーを取り外します。

  1. パッドピン外側のキャップボルトを外す(マイナスドライバー使用)
  2. パッドピンを緩める(六角レンチ使用)
  3. キャリパーを固定しているボルトを緩める(メガネレンチやラチェット使用)

パッドピンは緩めるだけで問題ありません。

キャリパーの固定ボルトを緩める前に、締め付け位置を可視化するためマーキングしておきましょう。

トルクレンチがある場合はマーキングしなくても問題ありません。

キャリパー取り外しの際は、ほかのパーツと接触しないよう注意しましょう。

手順②ブレーキパッドの取り外し

続いては、下記の手順でブレーキパッドを取り外します。

  1. 緩めたパッドピンを抜く
  2. ブレーキパッドとパッドスプリングを取り外す

ブレーキパッドを取り外した際に、パッドスプリングも同時に外れることがあります。

パッドスプリングには方向性があり、組み付けを間違うとブレーキパッドの動作不良を招く恐れがあるため注意が必要です。

事前にパッドスプリングの向きを確認しておき、多方向からの写真を撮っておくと組み付けミスを防止できます。

パッドの裏に「シム」と呼ばれる部品が取り付けられている場合は、一緒に外しておきましょう。

手順③部品の洗浄

次に、キャリパー・パッドピン・パッドスプリング・リテーナー・ピストンを洗浄します。

真鍮ブラシ・パーツクリーナー・ウエスを使って、サビや汚れを取り除いていきましょう。

ピストン部分の洗浄手順は以下のとおりです。

  1. ブレーキレバーを数回握ってピストンを出す
  2. ピストンを回転させながら全体を洗浄(ピストンプライヤーを使用)
  3. キャリパー用潤滑剤をピストンの隙間へ噴射
  4. ピストンを回転させて馴染ませる(ピストンプライヤーを使用)
  5. ピストンを押し戻す(硬い場合はピストン押し戻しツールを使用)

ブレーキを握ってピストンを出す際は抜け落ちの恐れがあるので、出し過ぎに注意しましょう。

またリザーバータンクからオイルが吹き出すこともあるため、タンク周りを濡れたウエスで囲っておきましょう。

もしタンクに付着した場合、塗装が落ちる恐れもあるのですぐに拭き取ってください。

手順④新しいブレーキパッドの装着

続いて、下記の手順で新しいブレーキパッドを装着します。

  1. ブレーキパッドの角を少し削る
  2. ブレーキパッドとキャリパーの接触部分にグリスを塗布
  3. ブレーキパッドを所定の位置に取り付け
  4. パッドピンで固定

ブレーキパッドの削りは必須の作業ではありませんが、ブレーキの鳴きを抑制する効果が期待できます。

グリスの塗布も鳴きを軽減するために行う作業ですが、量が多すぎるとゴミやホコリが付着する原因となるので注意しましょう。

手順⑤キャリパーの装着

最後にキャリパーを装着しましょう。

  1. キャリパーをセットする
  2. 固定ボルトを締める
  3. ブレーキレバーを数回握ってタッチを出す(エア抜き)

キャリパーの固定ボルトは、適切なトルクで締め付ける必要があります。

整備要領書(サービスマニュアル)に記載されている指定トルク、もしくは最初に付けたマーキングに従って締め付けましょう。

最後にブレーキレバーの抵抗感が出るまで(タッチが出るまで)、握りこみを繰り返してください。

エア抜きを怠るとブレーキが効かなくなる恐れもあるため、必ず実行しておきましょう。

交換後は慣らし運転をしよう

交換直後のブレーキパッドはブレーキローターへの当たりがついていないため、想定どおりのブレーキング性能を発揮できない場合があります。

そのため、200km程度の走行距離までは慣らし運転の感覚で、急加速・急ブレーキは避けるようにしましょう。

慣らし運転は新車購入時に行うイメージですが、部品交換後にも推奨されるケースがあります。

こちらの記事では慣らし運転が必要な理由や、新車以外でも必要なケースなどを詳しく解説しているため、気になる方はぜひチェックしてみてください。

バイクの慣らし運転について詳しくはこちら

ブレーキパッドと併せてチェックしておきたい箇所

ブレーキパッドの交換時には、以下のポイントも併せて点検することで、ブレーキシステム全体の安全性を高められます。

ブレーキフルード

ブレーキフルードとは、油圧式ブレーキを作動させるために使われているオイルの名称です。

ブレーキフルードが劣化していくとブレーキの効きも悪くなっていき、さらにそのまま放置しておくとブレーキ自体が作動しなくなる危険性があります。

ブレーキフルードの劣化は、リザーバータンクで確認が可能です。

液色が黒や茶色に濁っていると劣化している恐れがあるので、早めの交換を検討しましょう。

バイクのブレーキフルードの交換時期についてはこちら

ブレーキローター

ホイールに固定されているブレーキローターも、ブレーキパッドと同じように摩耗していくので注意が必要です。

ブレーキローターの摩耗具合は、バイクの使用環境とブレーキパッドの素材に大きく影響されます。

ローターへの攻撃性が高いパッドを使用している場合や、砂利や汚れを巻き込みやすい雨天時の走行が多い場合は、定期的にチェックしましょう。

ローターの表面に摩耗限度が表示されているので、指定されている厚みを下回ったら早めの交換を検討しましょう。

まとめ

ブレーキパッドは、バイクの安全性に直結する重要なパーツです。

適切な種類を選び、定期的な点検と交換を行うことで、安全なライディングを維持できます。

自分で交換することでメンテナンスコストを抑えることも可能ですが、少しでも不安がある場合はプロへの依頼がおすすめです。

ブレーキパッドの交換時には、ブレーキフルードやブレーキローターの状態もチェックし、万全の状態でバイクライフを楽しみましょう。